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GWのイベント用の新刊入稿しました!
「レディオスター(もう、あきらめない)」
(A5/オフ/96P/700円予定)
去年二冊発行した「レディオスター」のシリーズです。
一応、今回で一区切りつけました。
時間的には、最初の本から半年後くらい、新たにラジオ番組が始まって~というところからお話がはじまります。
主人公・佐登は相変わらずうじうじしています。
百合度はいつものように低めですが……。
この本単体で読めないこともないですが、やっぱり前作からの流れで読むのがおすすめです。
今回も漫画のゲストで、りーるーさんと柿月イナさんに来ていただきました!
お二人それぞれのテイストのレディオスター、すっごいにまにましちゃった……。
装丁もこれまでと同じく空野さんにお願いしています。
SCC22の新刊ですが、もちろん5/5のコミティアでも頒布します。
サンプルはpixivにもアップしましたが、こちらでは冒頭部分をアップしておきます。
※本文冒頭より
「メモリアラジオ!」
「こちら彩華女子天文部」
「「二学期~~~!!」」
「みんな、元気にしてた!? ほしくずメモリアでユウミをやらせて頂いています、天川歌音です!」
「まさか部活動をサボったりしないわよね? 同じくほしくずメモリア、奈緒役の風無明良です!」
「みなさん、お久しぶりです~~! 明良さんも!」
「そうだねー、歌音ちゃんも元気だった?」
「はい! 元気です~~!」
「いつも元気だもんねー」
「そうですよ、アニメのほしくずメモリアももうすぐ第二期が始まりますし、元気でいかないと!」
「楽しみだよねー、アフレコも、もう始まるしねー」
「そうなんですよー、ファンのみなさんの応援のおかげでアニメもですが、このラジオも!」
「前の番組が終わっちゃったとき、寂しかったよ」
「歌音もですー、しくしくって感じでした! でもまたこうして明良さんとラジオが出来るなんて、幸せですぅ」
「おだてても何もおごらないよー」
「あははは! それはまた後でお話しましょう! 今回も明良さんと歌音でお送りするこのメモリアラジオですが、今後は他の部員もゲストにお招きして、アニメのお話とか、みんなからのメールを紹介したいなーと思ってます」
「今日は復活第一回目なので、まずアニメの情報と!」
「はいっ!」
「そして、コーナーの紹介などしていきますよ」
「みんなからのメール、たくさん欲しいですね~」
「ねー。しっかり聞いて、ぜひどしどし送ってくださいね」
「それでは、最後までユウミと奈緒と一緒に過ごしましょう!」
『はい、いただきましたー』
イヤホン越しに、ディレクターの大森の声が聞こえた。
『じゃあ、そのまま、台本三ページ目のジングルまで録っちゃいましょうかー』
「はぁい」
隣に座っている歌音が、いつものシュガーボイスで答えた。最近よくテレビから聞こえてくる声だ。
「判りました」
そして、その歌音の向かいに座っている明良が、ガラスの向こうの大森に頷きながら答える。
ああ、ほんとに収録が始まったんだ。
田中佐登は、スカートの膝に乗せていた手に力をいれてしまう。
昨夜から緊張していた。そして、まだ緊張している。
今日から佐登が台本を担当するネットラジオの番組の収録が始まったのだ。
「再開第一回目、楽しかったね、歌音ちゃん」
「はい! アニメも始まるし、これからこの番組もますます、盛り上がるといいなぁ」
「ゲストってさ、最初誰が来ると思う?」
「わ、誰だろ! やっぱり天文部の誰かですよね~~」
「判んないよ。もしかしたら、津川先生とか」
「いきなり先生!? あ、でもそれも楽しそう~~! 先生とゆっくりお話したい!」
「楽しみだねー」
「は~い。次回以降も、みんな楽しみにしててねー」
「それでは風無明良と」
「天川歌音がお送りしました~!」
「次回も絶対聞きなさいよ!」
「待ってるからねっ」
やや間があって、トークバックで、大森の声が聞こえた。
『はい、お疲れ様でした~~』
ふうっとブース内の緊張が緩む。
明良がヘッドフォンを外した。
「歌音ちゃんお疲れ様」
「明良さんもお疲れさま~」
髪を直しながら、笑顔で歌音が答えた。
「佐登ちゃんもお疲れ様でした」
そう明良に声をかけられて、ようやく佐登ははっとして、慌てて頭を下げる。
「お、お疲れ様でした」
「佐登ちゃんたら、緊張していたの? 今日静かだったよね」
少し呆れたように歌音が言った。
以前より伸びた髪は、パーマかけたてでふわふわしている。総レースのトップスにアンティークな花柄のロングスカート。スカートの裾にもレースが着いていた。
久しぶりの歌音は相変わらず可愛らしく、いや以前よりますますその輝きを増しているように見えた。
それも事実。アニメ「ほしくずメモリア」のスマッシュヒットで、ヒロイン役だった天川歌音の注目度は高くなり、今期ではレギュラー三本の売れっ子となっていた。
先日はミニアルバムもリリースし、ファンの間で好評だという。
そのアイドルのオーラに、佐登は気後れするしかない。
「収録、久しぶりなんだもんね」
明良がその話題に続く。
ワンレングスのショートボブもすがすがしい。今日は細いストライプ柄のシャツワンピースをラフに着こなしている。膝に置いたカーディガンは白。そしてレースアップのシューズも白だった。
「はあ、そうなんです」
佐登は答えた。歌音が少し首を傾げて。
「他の番組は?」
そう問われたけども。
その時、重いドアが開く音が聞こえて、プロデューサーの氷室がはいってきた。
「みなさん、お疲れ様でした。今回もとても楽しかったです。ほんとアニメが始まるのが楽しみだわ~。盛り上げていきましょうね」
氷室の言葉に、パーソナリティの二人が礼をした。
「お二人ともお疲れのところ申し訳ないけど、この後、取材お願いしますね。もうライターさんたちも来てますから」
あ、そういえば取材って言ってた。
佐登は慌てて、自分の台本を持って立ち上がる。きっと写真撮影などもあるだろう。
自分が残っていてはまずい。
「では、お疲れ様でした」
もう少し二人と話していたかったな……と思いつつも、佐登はブースから出た。
(抜粋終わり)