プチオンリー「メロディ」合わせで発行した新刊です。
「遊星シンフォニー」
(68P/500円/オンデマンド/A5)
冬海、火原、王崎のオケ部の友情物。
wwb再録「先輩と後輩と後輩」、
オフ本再録「プレゼント」
新作「鈍感☆午後五時/you also」の三本。
日野、柚木、志水も登場します。オケ部の部員たちはほぼ捏造キャラです。ご注意。
※「鈍感☆午後五時/you also」冒頭より抜粋
オケ部にはいってからの冬海笙子の放課後は忙しい。
小学生時代からクラリネットを習っていたし、英会話などのお稽古ごともやってたから、他の子供に比べたら、ずっと忙しい放課後だったかもしれない。
でもそれとは違った忙しさを冬海は感じていた。
なんといったらいいのか?
騒がしいっていうか?
「今日は、王崎先輩こなかったね」
部活が終わって、後片付けの時間。もちろん、これは下級生である一年生の仕事。
軽く掃き掃除をしていた冬海に、ヴァイオリンの同じく一年生がぽそりと言った。
「あ……王崎先輩、最近お忙しいみたいで……」
そう答えた冬海を彼女はちらりと見た。
「冬海さん、王崎先輩と仲いいよね?」
「えっ!? そんないいってほどでは……」
思わず口ごもってしまった。確かに春のコンクール以来の知り合いではあるけど、仲がいいかと言われると……。
相談に乗ってはくれるし……。
優しいし……。
会えば声をかけてくれるけど……。
仲がいいなんて、私が言っていいのかしら? と冬海は思った。
「実はお願いがあるの、冬海さんに」
「わ、私に? なに?」
オケ部にはいってから知り合いになった彼女だった。クラスは隣のA組に在籍している。
折角仲良くなった友だちだったから、お願いがあるなら聞いてあげたかった。
「あ、あの、私にできることなら……」
「うん、王崎先輩に彼女いるか聞いてくれない?」
は?