プチオンリー「メロディ」合わせで発行した新刊です。
「Your name is Love」
(20p/200円/オンデマンド/A5)
星奏学院祭2のドラマを元ネタにした水日です。
理事・吉羅の「演劇をやれ!」の無茶ぶりにコンサートメンバーは?
コメディ調で、いつものようにオールキャラ風味です。
元ネタのドラマを知らなくてもわかるようになってます。
星奏学院祭では、王崎・衛藤も登場していましたが、この本にはおりません。
代わりに天羽さんがいます。
月森・土浦の出番も多いです(対立はこの二人)。
本文より抜粋
Scene3
「土浦先輩と月森先輩ですか……」
すでに空は暗くなった帰り道。
日野香穂子と志水桂一は、ふたり並んで歩いていた。
演劇の練習も終わり、帰宅するところだった。
「そういえば金澤先生が……」
志水が言った。
「その話をきいて、こう言ったそうです。面倒だから、王子の父親とパンは削るか? って」
「えええ!」
金やんもむちゃくちゃだわ! まったくあのふたり、類友! と、香穂子は内心思った。
「それはダメだよ! コンサートメンバーが演劇をやることって言うのがそもそもの条件なんだし……それに……」
「……それに?」
香穂子が立ち止まったことに気がついて、志水も足を止めた。
「それに……せっかくみんなで演劇できるなら、私はみんなでやりたい」
「え?」
ほら! と、香穂子は明るく言った。
「みんな学年も学科も違うじゃない? こんなふうに一緒になにかやれることって珍しいじゃない。きっと思い出になるよ。それにこのメンバーで何かやるのって最後だと思う……」
確かに。
志水は思った。コンサートはやってるけど、全員が一緒に舞台にでることはない。
合奏と違って、舞台に一緒に出られるのはこの演劇しかないかも、と。
みな、学年や学科が違うから、学校行事も実は一緒になることは滅多にない。
「最初は成り行きだったけど、準備してるうちに、みんなと一緒にいれるのっていいなって……ってそう思ってきたんだ」
香穂子がぽつりと言った。
確かに忙しいながらも、香穂子は楽しそうにしている。
「僕も……言われてみたら、けっこう楽しいです」
「え、ほんと!?」
「はい」
志水は笑った。
今回のコンサートメンバーは、春のコンクール以来の知り合いばかりで(加地は違うけど)、志水にとっては気心が知れた仲間たちばかり。
それに。
「それに、文化祭の準備中は、香穂先輩といつも一緒にいられるし。普段の学校だったら、こんなにいられないから」