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冬海分2

いよいよ冬に向けてバタバタとしてまいりました。
飛び交うメールの数もちょっと多くなってきたわぁという感じです。

「冬海分足りねぇ!」と自覚症状がでてきたので、昨夜は冬海さんお誕生日企画のチャットにお邪魔してきて、沢山の冬海さんを見て、エネルギーチャージ!
とても楽しかったです。
なんかものっそい誤変換とか多くて(私のタイプミス)、「おちついてください!w」とか言われちゃいましたwwww

絵茶なんで「むふ~~ん」と眺めてるしかないんですが、お題を阿弥陀で割り振るときに「字でもいいのかー(字つーか文な)」ということに途中で気がつき、お題を頂き、ひとつお話を書きました。
(そして、その阿弥陀すら、ちゃんとひくことが出来ず、他の参加者さんとバッティングしてしまう始末……。ほんとに日本人かと)

引いた阿弥陀「王崎×冬海」

考えてみると冬海ちゃんで男女CPって初めて書いたかも……。
でも王崎先輩と冬海ちゃんは兄妹っぽい感じ(脳内設定)が萌えなので、その延長みたいなほのラブみたいな雰囲気で。
なんか意外と安定感のある二人だ、みたいな気もしました。

しかし「王崎×冬海」って字面だけでものすごくレア感を感じますね。
ていうか、王崎先輩自体がレアだからね。ウィーンだしな、いつもは。

そして、やはり火原の存在は欠かせないのであった。オケ部として。

というわけで、短いのを書いたので、ここに置いておきます。
(このCPが嫌な方はみないでね)

続き

 王崎信武がウィーンに旅立って早一ヶ月以上が過ぎた。
 教会のコンサートの帰り、みんなで見送ったあの日より秋も深まり、道は落ちた銀杏の葉で黄色い。
 先輩、元気かしら……。
 星奏学院に続くその黄色い道を踏みしめながら、冬海笙子は思った。
 いや、元気なのは確かなのだ。
 ウィーンからは時々メールが届く。
 オケ部の先輩たちからも、話を聞く。
 だから、きっと王崎は元気なのだ。
 それでも、以前のように学校で会えるわけでもない。
 ボランティア活動でも。
 だから、やっぱり笙子は思う。
 先輩、お元気かしら。
 
 
 ウィーンは日本の関東よりはずっと寒い。
 この地についてから購入したコートの襟のボタンを留めて、王崎信武はステイ先の下宿から、練習場に向かって歩き出した。
 さすがに寒いな。
 片手にはヴァイオリンケース。そして手を冷たい風から守るようにしっかりと皮の手袋をつけていた。
 日本にいる時もそうだったが、コンクールのためにウィーンについてから、王崎信武の生活はますます音楽一色だった。
 いや、ヴァイオリン一色だった。
 ただただ、課題曲をこなすために、練習が続く毎日だった。
 それでも、ウィーンは憧れの楽都、道を歩くだけでも楽しい気分になれた。
 でも寒いな。
 再び、王崎は少し肩をすくめた。
 日本も寒くなっただろうか。
 みんなは元気にコンサートの練習をしているだろうか。
 いや、きっとそうだろう。日野香穂子や火原和樹から届くメールでは大変なりにも頑張っている様子が報告されていた。
 冬海さんも元気だろうか。
 一年生の彼女も日野たちのアンサンブルメンバーにはいっている。
 きっと元気でやっていることだろう。それはわかっている。
 それでも、ウィーンの古い道を歩きながら、王崎は思う。
 冬海さん、元気にしているかな。
 
 
「ファイナルに残ったんだって!」
 その火原和樹の声にオケ部全員が、喜びの声をあげた。
 王崎信武がセミファイナルをクリアし、ファイナルに残ったという知らせを火原が受けたのだった。
 音楽室は盛り上がった。
 王崎先輩だもの! 絶対大丈夫だよ。
 すごいね。テレビとかでやらないかな?
 何、弾くのかな。
 先輩の快挙に後輩たちは、みなテンションが上がった。
「すごいね、先輩! ね、笙子ちゃん!」
「う、うん。すごい……ほんとうにすごい……」
 同じ一年生のメンバーにそう声をかけられて、笙子はうなずくしかなかった。
 でも、なんだか当然な気もしていた。
「……だから、日本に帰ってくるのはまだ先になっちゃうけどって……。でも絶対優勝してほしいよね!」
 火原和樹の声が飛び込んできた。
 そう。ファイナルまで残ったということは、少なくともコンクールが終了するまで王崎信武はウィーンにいることになる。
 それはなんだか寂しい。
 と、笙子は思った。
 オケ部の練習がはじまった。まずはパート練習だ。
 各自がそれぞれの音を出しはじめた。
 ヴァイオリンの音が、いくつも聴こえてきた。
 笙子のよい耳はそれを捕らえる。
 その音たちを聞きながら、返って笙子は王崎の不在を強く感じてしまった。
 今度はいつ王崎先輩の音をここで聴けることができるのだろう。
 リードを咥えながら、笙子はそう思った。
 また近くであの音が聴けたらいいのに。
 
 
 練習場で、王崎は弓を下ろした。
 最後のパートがどうもうまくいかない。
 自分の中でしっくりこない。
 こんな時は無理をしてもだめだ。
 長年の経験で、王崎信武はそれを知っていた。だから、弓を下ろしたのだ。
 練習場の窓から見えるウィーンの空は、今にも雪が降りそうな曇天。
 降ったほうがきれいだろうな。
 そんなことを、王崎は思った。
 なにか足りない。
 こんな時、みんなと音をあわせられたらいいのに。
 オケ部のみんなと。高校時代も大学に進学してから、いつもいつも楽しい。
 他の人の音を聴くのが好きだった。
 一人で弾くより、みんなで弾くほうが俺は好きかもしれないな。
 王崎は広い練習場でただひとり、そう思った。
 あの音楽室を思い出す。
 そして、心の奥のどこからか聴こえてくる優しい木管の音。
 ああ、そうか。
 王崎は思った。
 今、冬海さんのクラリネットが聴きたい。
 
 
 そんな気持ちに名前があるのなら、それは人はなんと呼ぶのだろう。
 冬の空は答えてくれない。
 世界中、どこの空を見上げても。
 答えはただ、その人の中だけに。
 
<終>

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